失敗から学んだ保育園の選び方

慎重に選んだつもりでも、子どもの保育園を間違えてしまうことはあります。こだわる部分を誤っていたり、危険なサインに気づかなかったりすれば、再び同じトラブルを招きかねません。保育園選びでは、押さえておくべきポイントに注意しましょう。この記事では、保育園選びでよくある失敗と、それらを防ぐためのポイントを解説します。

目次

距離重視で一番近い保育園を選んだら失敗した話

保育園の選び方でよく挙げられるのが「距離を重視しよう」という考え方です。しかし、距離だけを重視していると、後で困ってしまったケースも少なくありません。以下、距離重視で保育園を選んだ際の失敗を紹介します。

みんな距離重視で当たり前だと思っていた

そもそも、保育園の選び方で「距離」が重視されるのは保護者の負担に関係しています。毎日、子どもを送り迎えするにあたって、距離が遠すぎては時間の余裕がなくなってしまいます。交通費もバカにはできませんし、小さい子どもに長い間お迎えを待ってもらうのも問題です。そのため、多くの保護者が「家の近くで保育園を探す」のを当然だと考えてきました。

しかし実際には、あえて遠くの保育園を選んでいる保護者も少なくありません。そして、距離重視で保育園を選んでしまったゆえのトラブルも起こっているのです。子どもを入園させてから保育園の問題点に気づき、手遅れになってしまうパターンです。距離は大切なポイントではあっても、保育園選びの絶対的な要素ではないといえるでしょう。

失敗したポイント

まず、「保護者参加型イベントの多さ」は、近隣の保育園だからこそ発生する問題です。運動会や夏祭り、お遊戯会など、保護者が子どもと一緒に楽しめる行事はたくさんあります。あくまでもお客としてなら、それらの行事に参加したい保護者は多いでしょう。しかし、中には保護者の協力を要請してくる保育園もあります。そして、家が近い場合は仕事を断りにくく、保護者の負担が大きくなってしまいかねません。

また、「距離が近い」からといって、必ずしも楽にならない保育園はあります。送り迎えそのものがなくなるわけではないので、結局は保護者が徒歩や自転車などで子どもを保育園まで連れていかなくてはなりません。真夏や真冬でも、大雨の中でも子どもを送り迎えするのはたいへんな習慣です。自動車がなければ体力を大きく削られてしまいますし、天候によってはとても危険です。そうなってくると、距離だけが保育園を選ぶときの重要事項といえないでしょう。

今なら何をチェックするか

まずは、「保護者と保育園の関係性」です。保護者にさまざまな協力を求めてくるタイプの保育園だと、場合によっては負担になりかねません。保護者に余裕があり好きで参加したくなるケースを除けば、ストレスの種が増えるでしょう。保育園が保護者にどのような関係を築こうとしてくるのか、事前にチェックしておきたいところです。

また、「送迎の有無」も大切です。保育園側が送迎バスを用意してくれるのなら、保護者が自分で送り迎えをする必要もありません。時間通りに子どもを起こし、バスが来るまでに準備させることへと注力すればいいのです。そのほか、保育園側が何時まで子どもを預かってくれるかも確認しておきましょう。時間の融通がきかない保育園であれば、いくら距離が近くても不便に感じてしまいます。共働き家庭で時間が変則的ならなおさら、保育園から理解してもらうことが肝心です。

保育園選びのポイント

距離以外にも、保育園を選ぶうえで大切なポイントはたくさんあります。この段落では、代表的なものを解説していきます。

保育士の質のチェックポイント

子どもを保育園に通わせた場合、大部分の時間を保育士と一緒に過ごします。すなわち、保育士の質は保育園の質に直結します。優秀な保育士を見極めるコツとして、「コミュニケーション能力」を確認しましょう。下見の段階で、投げかけた質問にしっかり返してくれるかをチェックします。もしも曖昧に濁したり、最低限の礼儀も分かっていなかったりするようなら、今後、良好な関係を築きにくいでしょう。

次に、「明るさ」と「落ち着き」も重要です。やはり、子どもは笑顔を向けてくれる保育士に安心感を覚えます。また、常にイライラしているような保育士にも子どもはなつきません。朗らかで、感情面も安定している保育士ほど子どもに好かれます。下見に来た保護者に対してさえ気持ちよく振舞えない保育士が、子どもと仲良くなるのは難しいでしょう。

距離は重要だがこだわりすぎない

家から遠い保育園だとしても、保護者の職場から近ければ送り迎えはそれほどたいへんではありません。また、送迎バスやマイカーによって、かなり保護者の負担が軽減されることもありえます。距離だけにこだわっていては、保育園の良さも悪さも見逃してしまうでしょう。距離はいくつかある判断基準のひとつとして踏まえておくのが賢明です。そのほかの基準と照らし合わせながら、総合的に保育園を探していくことが大事です。

園庭は必要か?

都市部では十分な敷地がないので、園庭を設けていない保育園も増えています。その場合、保育士たちは子どもを近隣の公園、広場など連れていき遊ばせます。こうした状況について「いろいろな環境に子どもを慣れさせられるので望ましい」とする意見も少なくありません。散歩の時間が増え、子どもの体力向上につながるという声もあります。ただ、さまざまな側面を考えていくと、できれば園庭のある保育園に子どもを通わせたいところです。

まず、外遊びが増えればそれだけ事故のリスクが生まれます。1日の移動距離が長くなり、子どもの体力面も気になるところです。また、公園に連れていかれた場合、遊具や設備の数には限りがあります。すべての子どもが楽しく遊べるわけではありません。遊具の順番をめぐって、子どもたちの間に力関係が生じる可能性も出てきます。広い園庭があればすべての子どもたちに好きな遊びをさせてあげられますし、足りない遊具を補充することも容易です。いってみれば、保育園がコントロールしやすく子どもにとっても安全な環境となります。

共働きの場合の重要ポイント 開園時間

認可保育園では7時ごろに開園し、18時ごろまで子どもを預かってくれるケースが一般的です。ただ、この時間はあくまで基準であり、絶対的なルールではありません。保育園によって開園時間や預かり時間は変わります。もっと早くから開いている保育園もあれば、遅く開いて早く閉まってしまうところも珍しくないのです。共働きの場合、余裕をもって子どもを送り迎えできる保育園にしたいところです。理想的なのは、早くから開いていて遅くまで子どもを預かってくれる保育園です。

乳児の場合の絶対確認したい所

保育園と保護者で子どもについての考え方が合っていないと、大きなトラブルを招きかねません。代表例は「オムツの種類」です。保護者からすれば、保育園では子どもに紙オムツをはかせてほしいところです。そうすれば、保育園でもオムツを取り換えてもらえます。しかし、保育園によっては「子どもには布オムツをはかせる」というルールを設けているので、処理が保護者に委ねられてしまうのです。洗濯物も増えるので、保護者の苦労が大きくなりがちです。保護者が特に布を望まないのであれば、紙オムツ派の保育園を探してみましょう。

次に、保育園との連絡体制を突き詰めておくことが肝心です。乳児期の子どもにはどのようなトラブルが生まれるか、予想がつきません。ささいな出来事の裏に重大な問題が潜んでいる可能性も考えられます。日々の会話や連絡帳は当然として、緊急事態をどのような形で報せてくれるのかまで聞き出しておくのが得策です。電話やメールをしてくれるのか、ケガや病気をどこまで保育園でケアしてくれるのか、細かく質問すれば保育園の質も見えてきます。

保育園の選び方の優先順位の考え方

「距離で決める」「開園時間が重要」と思い込んでしまえば、保育園選びで失敗しがちです。なぜなら、保育園選びの優先順位は保護者の状況によってまったく異なるからです。共働きの家庭であれば、開園時間や延長保育を柔軟に対応してくれる保育園が理想です。一方、子どもにアレルギーや持病があるなら、十分な知識を持った保育士と設備が必須です。保育園と保護者の教育方針がしっかり一致しているのかも確認しておきましょう。

さまざまなポイントがある中で、それでも優先順位が高いといえるのは「保育士の人間性」です。やはり、大切な子どもを預けるわけなので信頼できる保育士に預けたいところです。保育士の人間性は実際に会話してみると、ある程度はつかめます。ただ、より慎重に調べるなら、見学時の雰囲気に注目しましょう。子どもたちと保育士がどのようにコミュニケーションをとっているのか、目を光らせてみます。

子どもたちは正直なので、好いていない大人に寄っていくことはありません。また、保育士が一部だけにかまっていて、孤立している子どもに気がついていない状態もマイナス要素です。すべての子どもに分け隔てなく、てきぱきと向き合っている保育士がいる保育園なら保護者も安心です。

保育園選びのチェックリスト

いざ保育園を選ぶときには、いくつかのポイントに注目しましょう。その中には、どのような保育園であれ絶対にチェックするべきものから、できれば見ておきたい程度のものまであります。以下、保育園選びのチェックリストです。

絶対確認してほしいポイント

「安全性」や「清潔感」は必ず見極めておくべき要素です。たとえば、明らかに保育士の数が少ないのに子どもを園庭で遊ばせているような状況は非常に危険です。また、建物内の部屋、通路に十分なスペースが確保されているかもチェックしましょう。狭い場所でたくさんの子どもが走り回っているとケガの原因になります。そして、トイレやプールといった施設が清潔に保たれていることを調べておきます。安全性という部分では、「食育」についても聞きたいところです。栄養バランスや発育まで考えて食事メニューを決めているのか、子どもの成長にとってかなり大事な部分です。

次に、保育園の方針と保護者の考えをすり合わせていきましょう。保育園は子どもがかなりの時間を過ごす場所なので、方針と人格形成には密接な関係があります。望んでいないのに、特定の宗教や思想を広めようとしてくる保育園には注意が必要です。これらの保育園が決して悪いわけではないものの、保護者の考えに見合わないようなら入園を考え直すのもひとつの方法です。そのほか、基本的な開園時間や預かり時間、延長料金などを確認し、アクセスも考慮しながら保育園を絞り込んでいきます。

出来れば確認しておきたいポイント

入園後、子どもが快適に楽しく過ごせるのかは、可能な限り見極めておきましょう。見学時に、園内の雰囲気やほかの子どもたちの様子をチェックするのが得策です。いじめやケンカが横行している保育園はもってのほかです。そもそも保育士が子どもたちを放っているということなので、できれば入園させたくない場所だといえます。また、試しに自分の子どもを遊ばせてみて、保育園との相性を確かめる方法もあります。

そのほか、遊具やおもちゃ、絵本などを見れば、いかに保育園が子どものことを考えてくれているか分かるはずです。常に新しく、きれいなものを用意している保育園は、資金や教育方針に関して安心できる可能性が高いといえます。

さらに、1日のスケジュールや年間の行事計画を保育園側に聞いてみましょう。子どもが保育園で、何をして過ごすのかは知っておきたいポイントです。それに、年間行事を事前に把握しておけば、「運動会に合わせて会社を休めるだろうか」といった問題を早い段階で解決できます。万が一、保育園側から協力を頼まれても心の準備をしておけます。

失敗しない保育園選び方のまとめ

家からの距離は保育園を選ぶ際の重要項目です。しかし、決して「最優先にするべき項目」とは限らないと覚えておきましょう。保育園の魅力はたくさんの要素によって成り立っています。距離だけに気を取られてしまい、そのほかのポイントが目に入らなくなっては後悔しかねません。「保育士の質」「開園時間」「教育方針」あたりは、いかなる保育園であっても必ずリサーチしておくべき部分です。そのうえで、実際に見学をして保育園の空気を体感し、子どもを預けられる場所なのか、細かいポイントをチェックしていきましょう。

距離は大切なポイント!ただ強くこだわりすぎないように

子どもが楽しく過ごせる保育園は、たくさんの条件の組み合わせで変わります。そもそも、共働きの家庭とそうでない家庭とでは、保育園に求める要素が大きく異なるでしょう。保育園までの距離に限らず、ひとつの要素だけにこだわってしまうと思わぬ失敗につながります。保育園選びは慎重に、入園後の生活をイメージしながら行うことが肝心です。

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